基準を見つける

基準を見つける

先日YouTubeを見ていると森永のホットケーキの作り方のコツを説明した動画があり、つい見てしまいました。曰く、卵と牛乳を混ぜてから粉を入れて優しく混ぜなさい、焼くときは気泡がつぶれる前にひっくり返しなさいなど。確かにそうだなと思って、忘れないうちにその通り作ろうとホットケーキミックスを買うと、裏に同じことが書いてあります。作り方を見ないで作る人はある程度いるということでしょう。

実際うちの従業員でも言えることで、私が麺が好きでいろいろな麺を買ってきて賄いで試していますが、たいてい袋に茹で時間の表記があるのに関わらず、何分茹でますかと聞いてきます。

どのように作るのか、何分茹でるのか、ある程度の目安が用意されているときはそれを基準として物事を進めるほうが失敗は少ないはずです。でもなぜかそれができない。

店の料理を作るとき、基準はシェフや先輩のものになります。基準を知って仕事をすれば自分の仕事はクオリティが高いか低いかの幅に入ることとなり、外れることにはなりません。それは調理師本人が他人の仕事を見てるかどうかにかかっています。

調理師のお客様が来て聞いたのですが、「従業員は任せなければ辞める、任せれば店のクオリティが下がる」と言います。結局は見ていないから任せられない、見ていないから同じことができないのではないか。見て学ぶということは相手のやることと自分のやることがどう違うか把握して相手に寄せていくということです。そこで初めてお店の基準に沿うことができます。

自分自身がそれを意識することができるようになれば仕事を深く考えられるようになります。アスパラやニンニクの茎の掃除をしたときに、先から長さを合わせて根元を賄いにするのか、根元から長さを合わせて先を賄いにするのか、決まっているはずです。青ネギを小口に切るときに白い方から先まで同じ幅で切って行くと先は細いので小さくなります。先は少し斜めに切ると最初から最後までネギの大きさは揃います。基準は同じ幅なのか、同じ大きさなのか、店によって決まっているはずです。

調理場の物事というのは決まったことが多いです。そしてその全てに意味があります。漠然と仕事をして基準から外れるよりは、全ての仕事に基準を見つける癖をつけていくことが、たくさんの仕事を覚えるコツだと思います。