調理師を何人か雇ってきましたが、今の子はお金が欲しくて仕事をしてる人と、自分の勉強のために仕事をしてる子に分かれるという印象があります。
うちはずっと私が仕事を見えないところで抱えていてそれを従業員に分配していたのですが、それではうまくいかないことに最近やっと気付いて仕事を見えるようにしました。
仕事を見えるようにしたあとに、これは店によってやり方バラバラですが、個人に一つの仕事を割り振るようにして、みんなで協力して一つの仕事をするというようにはしませんでした。でもそのやり方はあまりうまく行っているとは言えません。
昔の話なんですが、自分の独立のために仕事を覚えている気持ちがある人の多い職場は、仕事をみんなで取り合いしていたような記憶があります。最近では例えて言うならサッカーの試合にルールを知らないような選手が入って来てボールを追わないような事例が増えてきて、試合中にルールを教えるのに限界があるので交代していただくというのが特に個人店に多くなってるのではないでしょうか。
調理の話に戻ると、個々に仕事を割り振ると、わざと楽な仕事をしたり、仕事を自分で増やすことをしなかったり、早く終わらせようという努力をしない人がいます。みんなで同じ仕事をすると、そういう人はわざと遅く作業してみんながやるのを待ってたりするのではないかと思います。
努力をしない人を認めて少し店のレベルを下げるのか、向上心のある人以外は交代していただくのか。それを選ぶのはお店ですが、就職するお店を選ぶのは個人です。教育でなんとかしようとしてますが、今のところいいアイデアが出てきません。
レベルを下げてお店を維持すると、味は誰でも作れるものになります。誰でも作れるものを出す店の経営は個人よりチェーン店が長けているので、最終的にはそういう店ばかりになって、調理師は料理を作れる機械に仕事を奪われ、ボタンを押すだけの作業になって行きます。そういう時代が来たときの準備をしながら、しばらくお店はどうにかやっていきます。