全部やる

全部やる

少し仕事に慣れた従業員に君の仕事は何か?と聞くようにしてます。ここで普通の人は今与えられている仕事を上げるのですが、私が意識して欲しいことは「全部やる」ことです。お店の仕事を全部自分が最初から最後までやる気持ちです。

うちはどれが誰の仕事とあまり決めないようにしています。技術と向上心があればどの仕事をしてもいいですし、逆になければ何もすることができません。やるときは最初から最後まで一人でしてもらいます。

最初のうちは当然仕込みを一人で完結させることはできません。仕込みはリレーですので、先輩に、同僚に、あるいは未来の自分に引き継ぐためにはどこまで、いつまでに仕上げないといけないかを考えないと、中途半端にしか出来ていないとバトンを相手が受け取ることができません。先輩なら怒られるだけですが未来の自分なら時間のロスになりお客様を逃してしまうかもしれません。うちはどのタイミングで誰が必要なのか、スペースを使うのか、肉なのか野菜なのか、仕込みの時間はどれぐらいかかるのか、などいくつかの要因に分けて優先順位をどのようにつけたらいいのかを説明してます。

そういう経験をしてもらったあと、簡単な仕事を最初から最後までさせるようにします。どの仕込みに何が必要でどのぐらいの時間がかかるのか。どのタイミングで始めたら終わるのか。誰にも引き継がずに自分だけでできるのか。全てのリストを頭の中に入れてこなす体験を1つ1つ増やしていかないとたくさんの仕事を並行してやることはできません。途中で人に頼む(私も従業員にあとやっとってと頼まれます)調理師は多いですが、もし独立して調理場一人なら誰に頼むつもりでしょうか。

昔は先輩にエビ掃除して渡して味入れてもらったらボウルごともらって容器に入れてしまう、そんな仕事がありました。でも今は一人で最初から最後までやるほうがいいと思っています。リレーの仕込みはチームワークを育むのには役立つかもしれませんが、チームワークは本来調理場にはいらないと思っています。最初から最後までできる仕事を増やしていくことと毎日楽しく働くこと、従業員の働く目的はどちらでしょうか。

  • 親睦会の雰囲気が最高のお店で働いてみませんか。