地方料理という言い方があります。日本でも大阪と京都で料理が違うように、中国もそれがあります。
最近は成都でも他の地方の料理を扱うようになってきました。例えば宜賓燃麺は昔からありましたが、最近では豌雑麺も増えてきました。キャベツと春雨の炒め(北京料理)が流行ったらどこもかしこもメニューに取り入れます。春雨は四川料理で有名なものがあるのになんで北京のものを食べるのでしょうか。それは経営者側からは儲かる(昔からある料理を値上げするより新しい料理を高く売る方がいい)、お客様からは珍しい、お互いの利益が一致してるからどこのレストランでも採用されます。
おこげという料理があります。四川では唐辛子の漬け物が入った少しだけ辛味のある甘酢に近い味、上海では豚肉とエビが入ったケチャップ味です。これはどちらも米どころということでそれぞれの地域の味として作られました。
日本で広東風麻婆豆腐というのがあります。僕の昔食べたものは椎茸とパプリカ、オイスターソースが入ってました。これは四川のものを広東の人がアレンジしたのかわかりませんが、本来の味を変えるものとして、今まで上げてきた例とは少し違います。
日本では中国の地方料理が支持されないということもあり、いろいろな地方の料理をまとめて提供することが多いです。北京ダックも小籠包も麻婆豆腐も同じ店にあるのが日本の中国料理です。例えば上海料理屋に麻婆豆腐があったとき、四川味にするのか上海味にするのかどちらにするのでしょう。
答えがあるわけではありません。うちはその地方の味をできるだけ再現しますが、四川風小籠包があってもいいと思います。中国料理の本をたくさん買って思うのは、出版社の所在地がその料理と違うとき(例えば四川料理の本を北京の出版社が出したとき)、少し元のものと違うような気がします。それがどのように違うのか、そのパターンがわかるようになったとき、地方の料理を変えることに対する許容範囲がわかってくると思っています。