武器を持つ
杉並区和田中学校の民間人校長だった藤原和博さんがよく言ってることで、同じことに10000時間費やしたらプロになるというのがあります(昔は二流のトップくらいにはなれると言ってました)。僕は就職してから必要に迫られて本を買い始め、毎日どれだけ遅く帰って来ても一時間勉強してました。欣葉で働いてたいた頃に親方から食文化と歴史を勉強しなさいとアドバイスを受けたのと同じ時期にそれを知って、その10000時間を料理以外の勉強に当てようと考え今まできました。
世間一般の労働時間が月に160時間ですので、10000時間は5年で到達します。調理師は6年目にプロになれるということです。それ以外の時間に1日2時間なら13年勉強するとプロ級という武器が二つできることになります。年取ってから始めるより若いうちに始めた方が得をします。余生の長さが所得の差になってくるからです。
どこで時間をやりくりするか。電車やバスの通勤がある人はその間がいいです。でもとにかく毎日続けること。楽しいことは毎日苦ではないですが、楽しくないことを毎日続ける方が伸びます。楽しくないことを毎日すると義務感が出てきてやめることができなくなります。調理師は特に毎日同じことをする仕事ですから、この感覚は調理師の日常に合うと思います。
やることは何でもいいですが、中国料理に近すぎず遠すぎずを目指したほうがいいです。例えば中国料理以外で寿司を握る勉強とか、料理から離れて食文化とか。中国料理と和食の一流店で働いてミシュラン三ツ星を取ったシェフを目指してイメージしてください。
二つ目の10000時間がクリアできたら伸び代が増えます。ひとつの技術しかないと経験に従って伸び代は普通減ると思います。でもふたつのことができるようになると伸び代はまた増え、自分に無限の可能性が広がります。徳川の埋蔵金みたいな感じでしょうか。やること全てが自分の糧になる、やること全てが自分の将来の所得になる、でもいいですけど、そういう意識で働くと調理師という生き方が楽しくなります。
身も蓋もないことを言うと技術を得られなかったベテラン調理師にも今までできなかったぶん無限の可能性はあるんですけど。